1000円自販機(高級カレー編)を語る
私はもう何も知らない子猫(キティ)ではないので、手の中の1000円がPS Vitaや3DSに変わるなんてことはそうそう無いと知っている。マジカル自販機による錬金術が発動することは殆ど無い。チュパカブラと遭遇するくらいの確率だ。私はもうそんなものに夢を見られない。
だが、そんな私の前にこれが現れた。
い、いけそう〜!!! カレーなら選べそう!!
このリアリティーラインに、私はいたく感動した。1000円はPS vitaにはならなそうだが、カレーにはなりそうである。だってカレーだから! ドリーミーラインとしてはかなり適切である。それに、カレーは食べられる。20日分のQOLが手に入るのだ。
私は隣に居る親友に回していいかを尋ねた。そんなの好きにすればいいのだが、崖に向かって走る時は誰かの「頑張れ」が欲しい。回していいよ、との言葉と共に私は回した。カレーが当たったら友人と半分こしようと思った。ご当地カレーと聞いたので、東日本を友人が、西日本を私が食べようと思った。
そして出たのがこれ。
値札を免罪符にするんじゃない。
私は親友とカレーを分け合いたかった。カレーの食べ比べ会を開いて「まあカレーって何でも美味しいよね〜」という予定調和的な結論を出したかった。
カレーが食べたかった。
回る。
自棄になったので、この知恵の輪が解けなければミステリーを書くのを止めるぞ! と喚きながらガチャガチャガチャガチャやり続けた。こんなものに人生を賭けるんじゃない。
解けた。断筆しなくて済んだ。
私はもう何も知らない子鹿(リトル・ディアー)ではない。1000円で3DSが手に入るとは思わない。1000円自販機は賢者の石ではない。
でも、カレーの絶妙さ加減は……隣に居る友人とカレーを食べるというドリーミーラインは……ハンドスピナーは……知恵の輪は……。